NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(2021年度後期放送)は、ラジオ英語講座を背景に、3世代の女性の生涯が描かれたドラマです。英語のナレーションやセリフも時々あり、「英語の勉強をしたいな」とモチベーションが上がりますね。

「カムカムエヴリバディ」を使って学んでいる私の英語学習法を4つ紹介します。

1.朝ドラの英語のセリフやナレーションを真似する

城田優さんの英語のナレーションや、上白石萌音さん演じるヒロイン安子が話す英語のセリフを聞き取って、同じように言ってみます。時間に余裕があったら、聞いて書き取ってみるディクテーションもお勧めです。

何と言ったのかわからなかった場合は、ネット検索するとセリフが見つかる場合もありますが、「わかるところだけ書き取る」という姿勢で取り組むのも良いと思います。

2.「ラジオで!カムカムエヴリバディ」を聞く

テレビドラマと連動したNHKのラジオ番組があります。
※2022年3月に終了しました。

講師は、以前NHKラジオ英会話の講師をしていた大杉正明先生です。NHKラジオで英語を学んでいた人にとっては懐かしい、そして再会が嬉しい先生です。生徒役は、カムカムエヴリバディの主題歌を歌っている、女性歌手のAIさんと、タレントの天野ひろゆきさんで、楽しく番組が進行しています。

ドラマで使われた英語のセリフを言ってみたり、ドラマのシーンを英語で表現したり、ドラマを振り返りながら、英語を学ぶことができます。12月の放送では、上白石萌音さんがゲストに来たり、平川唯一先生が放送した当時の番組の録音が聞けたりするコーナーもありました。聞きごたえがある番組です。

3.15分のドラマのあらすじを英語で書く

1話のドラマで、「誰が何をして、どうなったか」というあらすじを、英語で書いてみます。

NHK連続テレビ小説は、1話が15分と短いため、1時間ドラマや2時間の映画よりも、あらすじが書きやすいように思います。例えば、第2話では、幼い安子が「お菓子を作る人になりたい」と言うと、母親と祖母から「女の子だからならなくていい」と言われ、安子の兄の算太が「ダンサーになる」と宣言すると、「ダンサーは女の仕事だ」と止められました。そのようにドラマの魅力や楽しさが表わせるよう工夫しながら、自分なりの英語で書いてみると、英語の力が伸びるのではないでしょうか。

書いた英語を添削してくれる先生がいれば、英語を直してもらうのも良いと思います。しかし、添削してもらう機会がなくても、「英語が間違っているかもしれないけど、とにかくどんどん書いてみる」という姿勢で英語を書くだけでも、英語は充分上達します。

4.CD付き書籍『カムカムエヴリバディ』で学ぶ

「カムカム英語」と呼ばれたNHKラジオ「英語会話」は1946年2月に放送が始まりました。当時の放送のテキストから厳選された20話がCD付き書籍になっています。CDの音声は放送当時のものではなく、録音し直されたものであり、英語も少し現代風の言い回しに改めたそうです。

例えば、お母さんが息子に「Where have you been all this time?(今までどこに行っていたの)」と言うなど、実用的な英語がちりばめられています。CDの英語は比較的ゆっくりですが、英語での就職の面接の場面もあったりして、英語初心者から中級者まで、多くの人にお勧めです。

会話の内容も平川唯一先生が作成したものであり、主に、日本の家庭で交わされる家族の会話で構成されています。ラジオを聞く子どもや大人が、日常生活になじんだ、身近な題材で学べるように工夫されたそうです。安子がクリスマスにロバートと英語で話すシーンがありましたが、カムカム英語を何度も繰り返して毎日勉強していた安子だからこそ、あれほど英語を話せるようになったのでしょう。

おまけ 平川唯一先生の伝記を読む

安子が聞いていたラジオ番組のカムカム英語は、平川唯一先生が講師で、「証城寺の狸囃子」の英語バージョンがテーマソングでした。子どもも大人もラジオ放送に夢中になったそうです。

平川唯一先生の人生を描いた『「カムカムエヴリバディ」の平川唯一 戦後日本をラジオ英語で明るくした人』や『平川唯一と「ラジオ英語会話」の時代 カムカムエヴリバディ』が出版されています。執筆したのは、平川唯一先生の息子の平川洌氏です。

アメリカで19年間生活した経験のある平川唯一先生ですが、最初から英語が上手だったわけではなく、英語ができなくて悔しい思いをしたり、17歳でアメリカの小学校に入学したり、という経験をされています。そんな平川唯一先生の伝記を通して、励まされることも多くあります。

また、当時の時代背景がよくわかる点も興味深く、例えば、番組がスタートした1946年は、ラジオが生放送だったので、「Come, come, everybody♪」というテーマソングも、東京放送児童合唱団の子供たちが、毎日NHKに通って、生で歌っていたそうです。証城寺の狸囃子に英語の歌詞を付けたのも平川唯一先生です。どのような思いと経緯でテーマソングが作られたのかというエピソードも書かれてありました。

「カムカムエヴリバディ」のドラマを毎朝楽しみながら、英語の学びも深めていきましょう!